wild poker~ワイルドポーカー~
犠牲 【side‐J】

そっと辺りを見回せば、そこは森をくり抜いた様な、小さな空間だった。

あの鬱蒼とした森エリアとは違い、辺りには綺麗な花が咲き乱れ、それはどこからか吹いてくる風で、さわさわと揺れている。

近くには小さな泉があり、そこから細い小川が流れていた。

月明かりの照らす幻想的なその光景の中に、一人の少女の姿を見つける。

その少女はフランス人形の様に長くふわふわの髪を風に靡かせ、ガラス玉の様な大きな瞳を真っ直ぐに俺に向けている。

しかし彼女の腕や足には白い包帯が巻かれ、そして彼女の右目には眼帯がされていた。

よく見れば透き通る様に白いその肌に、青や赤い痣が見える。

その痛々しい姿に微かに眉を顰めると、少女はニッコリと笑って見せた。
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