密会は婚約指輪を外したあとで
「ハル……、頼んだよな、部屋で寝かせておいてって」
「兄貴、もしかしてなゆさんに黙ってたの? それ、普通にサギじゃん。隠すのはよくないと思うよー?」
「もう少し時間を置いてから紹介したかったんだよ」
「なゆさんに逃げられると思ったんでしょー」
私は二人の会話を呆然としながら聞いていた。
……どういうこと?
一馬さんに娘がいたの?
私、そんな話は聞いていないのに──。
「一馬さん……、結婚してたんですか」
強張った顔を隠さず、私は問い詰めるように訊く。
「いや、今は結婚してないよ。半年前に離婚してるんだ」
じゃあ、バツイチ子持ちってことですか……。
「あのお姉さん、だぁれ?」
女の子が不思議そうに一馬さんの足にぎゅっとしがみつく。