コスモノート

SceneⅢ 彼の命を奪った弾の話

いらないものを売る女の店の前、女が一人、見ている。
『なんかほしいものあったら持っていっていいよ』
客の女は手帳を手に取る。
『お金要らないから』
客の女はあわてて手帳を戻す。
ただで貰うわけにはいかない。しかも手帳は昔のもので使用済みだった。
置いてある商品に疑問を持つ客の女。

『急にいなくなるもんだから。こんなに色んなもの残されても困っちゃう。捨てられないし。
だから配っちゃおうと思って。』

どうやら、店の女の昔の恋人のものらしい。
客の女はふと、女の首にかかっているペンダントを見つける。
その視線に気づく店の女。

『これほしい?』

『いや、知り合いにそういうの好きだった人がいるものですから、ちょっと気になって』

銃弾のペンダント。店の女の恋人がいなくなったとき、その部屋に銃と、この弾が残っていたらしい。

『これで、死んだのかもしれないね。』店の女は笑いながら言った。
首からネックレスをはずして、客の女に差し出す。

客の女はもちろん、ことわって、去っていく。

『じょうだんだよ。こんなので死ねるわけが無いんだ。』

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