幼なじみじゃイヤなんだ。
キョトンとしている私を見て、急かせる様に階段を指さして流瑠が言う。





「SHRまで後15分。走れ!桜!!」

「うわっ……」





いきなり流瑠に背中を押されて、言われるがままに階段を駆け上がる。


後ろから流瑠が追いかける様に着いて来る。





「落ちて来るなよー」





私は息が切れて返事すら出来なかった。





「……ハァハァ…」





やっとの屋上の入り口まで駆け上がり、窓もない重そうな鉄の扉の前に立って乱れた息を整えていると、


後ろから流瑠の腕が伸びて来て、その扉を軽々と開いた。




同時に大量の風が私を包み、視界一杯に真っ青な空が広がる。






「う…わぁ……」






その“青”が私の心を、また少し元気にしてくれる。


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