幼なじみじゃイヤなんだ。
「じゃあ、その証拠見せてもらっとくわ」


「ん?証拠?」


「言ってごらん。『流瑠が好き!』って」


「なっ!?」


「だってまだ1回も桜の口から聞いてないよ。桜がちゃんと言えたら、安心してあたしも先に行ける」


「え、えぇっと」




頬が限界まで熱くなるから、そんな私を見て、早苗がイジワルに笑う。





「言えないの!?なーんだ…たいして好きじゃないんだね…」


「そ、そんなことないもん!」


「じゃあ、どうぞ!」





完全に早苗に引っ掛けられた!

そう思ったけれど、不思議と言いたい気持ちが込み上げてくる。






「流瑠のことが大好き!!」








目をギュッとつぶって叫ぶように言った。



自分の想いに気付いてから、

初めて口にしたその一言。




たったその一言が、私の心のモヤモヤを一気に吹き飛ばした。






「じゃあ、先に行ってる。トイレ行った後、深呼吸してからおいでね!」





私にコソコソっと耳打ちをしてから、この言葉を言った。






「そうだ!大石にちゃんと聞きなよ、『桜はただの幼なじみ』の続き。わかった?」


「うん」





吹き抜けた風が、私の髪を優しくなでていった。

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