トンネル
2008年9月1日
2008年9月1日

「誕生日おめでとう!麻子!」

麻子と呼ばれた少女は照れくさそうにお礼を言った。

「お母さん、私もう16歳だよ?
お祝いしてもらうような年齢じゃないよ!」

「あら、何言ってるの!
あなたはいくつになってもお母さんの子供よ?
お祝いするに決まってるじゃない!
ねぇお父さん?」

「そうだぞ!
お前は父さんと母さんの宝だ!
そんなお前が生まれた日をお祝いしないわけがないだろ?」

お祝いされるのは照れくさいが、内心はとても嬉しい麻子。

はにかみながら母親が毎年作るケーキにフォークを突き刺した。

「私が生まれた時、お父さんとお母さんは嬉しかった?」

もじもじしながら麻子は両親に聞いた。

「当たり前じゃないの!
あなたの顔を見た瞬間、痛みなんて吹き飛んだわ。
とっても可愛くてねぇ…」

懐かしそうに母親は笑った。

「父さんと母さんだけじゃないぞ?
おじいちゃんもおばあちゃんも、父さんの職場の人も…
みんな喜んださ。
麻子はみんなのアイドルだったからなぁ…。
目に入れても痛くないほど可愛かったよ。
もちろん、今も可愛くてたまらないけどな!」

その日は遅くまで笑い声が絶えなかった。
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