シブヤクーロン
 
 その日帰るとき、なんだか気まずかった。
依子は当たり前のことをさらっと言っただけなのに、軽く劣等感を感じたのだ。

 ちょっと落ちてると、彼女はまたいつものように明るく振る舞ってくれる。


ホテルから家に帰る方が近いのに、反対側の遊び場へ誘ってきた。 


渋谷の繁華街はもう、主婦が毎日商店街へ通うのと同じ感覚になってるが、それでも可愛いもの探しは続く。


服とかアクセサリーとか、あれがいいこれがいいとか言いつつ、手にするのはいつも同じものだ。


だって毎日来てるから、そうそう商品は変わらない。


「もう買っちゃえば?」



あたしがそう言うと、依子はにやにやした。



「今買ったら、明日来る楽しみなくなるもん。」



‥(笑) 
こんなんが楽しくてたまらない。
頑張って仕事したごほーび?



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