飼い犬に手を噛まれまして
普段会社ではお目にかかれないようなラフなスタイルの先輩にマンションまで送ってもらって、車の中でキスをする。
「後で迎えに来るよ」
「大丈夫です。電車で行きます。先輩のマンションが会社のそばで、よかったです。迷子になったら迎えに来てください。
それまで、ゆっくり休んでくださいね」
黒光りするレクサスを見送った。
「はあ……」と、ため息が出た。
今までのことは、全部嘘なのかもしれない。自分の頬を思い切りつねると、どうしようもなく痛かった。
─────「ただいま……」
カーテンが閉じたままの部屋。ワンコいないのかな?
バッグを置くと、またため息。それに全身に疲労感。
先輩が素敵すぎて、その度にドキドキさせられるから疲れちゃった。