飼い犬に手を噛まれまして

「私はいいんですけど……郡司先輩に申し訳ないです。私みたいなのと付き合ってるってバレたら……」 

 

 考えただけで恐ろしい。少しエッチで料理が苦手で甘党でお酒に弱くお持ち帰りされちゃうような郡司先輩だけど、会社ではそんなこと微塵も感じさせない。

 パーフェクトという単語は、郡司先輩のためにあると言われるくらいのエリートだ。

 そんな彼が、庶務課の私みたいなのと付き合っているなんてマイナスイメージしかつかない。



「バレたら?」


「先輩に傷がつきます」


「どんな傷? 茅野ってそんな悪い女だったんだなぁ」


 先輩は、また余裕に唇を引き上げると私の額にキスをした。

 わかっていて……からかってる!



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