飼い犬に手を噛まれまして


 郡司先輩……部屋にいれてくれない女なんて、と愛想つかされてないかな。


 これから五日間も会えないなんて……このモヤモヤ感どうしたらいいんだろう。



 
「茅野、ただいま……って、どうした? 難しい顔して突っ立って」


「萌子先輩、おかえりなさい。これ、郡司先輩から報告会の備品リストです……」


 萌子先輩は、A4のファイルにざっと目を通した。


「うわ……こんなに? 郡司くん、今回のシカゴイベントに相当気合い入れてるって聞いてたけど、これは予算おりるか経理課長と相談ね。ああ、だから茅野難しい顔してたの?」


「ええ、まあ……」


 萌子先輩は「あんたも庶務の辛さがわかってきたわねー」と言って、肩を叩いてくれた。


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