飼い犬に手を噛まれまして

「せっかくエリナさんが私にプレゼントしてくれたのに。じゃあ半分こしよう」


 先輩、甘いもの好きだからなぁ。エリナさん、それを知ってるから送ってくれたのかも。


「俺のお菓子は、これじゃない」


「あっ!」


 先輩はカボチャのバスケットを取り上げると、ダイニングテーブルの上に置いて、腰に手を巻きつけてくる。


「紅巴が甘いお菓子になって、じゃないと悪戯する」


 柔らかいキスを目をとじて受け入れて、私がお菓子になっても悪戯されてもどっちも同じ結果になるんじゃないのかな、と考えると可笑しくなった。


「好きなだけ、召し上がれ」


 ふざけて両腕広げてみる。


 すると、途端に先輩の顔つきが厳しくなる。


「言ったな? 好きなだけ、って今言ったよな?」


「えっ? うわっ! ちょっと待って周渡!」


 いきなり担がれて、わけもわからず先輩にしがみつく。


「あ、明日仕事でしょ? はやく寝ないと朝起きられないよ! だから……」

「さっき言っただろ。激務から解放されたーってさ、明日休み。だから、今夜は……」



 どさりとおろされた場所は、寝室のベッドの上で、甘いお菓子を前に先輩は微笑む。



「せっかくのハロウィンだから、一晩中甘いお菓子を食い尽くす」


「ひゃっ、うわーっ!!!」




HappyHalloween!!
Senpai&Kureha

THE END


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