飼い犬に手を噛まれまして

ワンコ絶体絶命


────その電話を受けたのは、平日昼下がり。

 私と先輩の洗濯物が一緒に干されているベランダを見ながら「ああ、幸せだな」なんて一人で幸せに浸りながら、夕飯の下拵えを終えて新婚旅行の写真を整理していた時だった。


 写真の中でもかっこ良くて、ポーズを決めてるわけじゃないのにモデルみたいに様になってる先輩にニヤニヤしながら携帯の通話ボタンを押した。



『紅巴さんっ!』

「あれ? ワンコだ。電話してくるなんて珍しいね。国際電話は高いから、いつもメールなのに」

『今、日本に帰ってきてるんですけど…………あっ! ああっ』


「どうしたの??」


 日本に帰ってきてるとは知らなかった。みはるさんは一緒じゃないのかな?

 ディスプレイには知らない番号が表示されている。


『紅巴さん…………助け……』


 通話口から聞こえてくるワンコの声が弱々しくなっていく。


 どうしたんだろう?

 何があったんだろう?



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