乱華Ⅰ【完】
「股関蹴って逃げた」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
何故沈黙になる。
正宗は正に鳩が豆鉄砲喰らったみたいな顔をしていて、隣の司は顔を逸らし肩を震わせていた。
右隣タクはぽかーんとした表情を浮かべていて、左隣修はニヤニヤとしながら私の髪を弄っている。
颯人は口元を緩やかに上げていた。
「…でもさ、あの赤髪バカだよ。見張りなのに携帯してたし…」
そう。
確かにあの赤髪は誰かと話をしていた。
誰かまでは知らないけれど。