乱華Ⅰ【完】


行き場のない怒りが、正宗の携帯へと行く。



ビキッと小さな悲鳴が鳴った所で、これは正宗の携帯だと思い直して、返した。



ヒビ入ってたらごめんよ。



「颯人、何だって?」


「あー…なんか正宗と倉庫来いって」


「…ふーん」



カチカチ携帯を弄って―…パチン。



「梶、」


「ハイハイハイ」


「…ハイが多い」


「………ハイ」



…何?
正宗が龍のお兄さんの頭をバシッ叩く。



…つかアンタ梶って名前なんだ。



梶さんは頭を軽く撫でて、マンションがもうすぐ見えるって場所で180度―…回転して、アクセルを踏み込んだ。



ギュルルル
タイヤと道路が擦れる凄い音がしたと同時、ガツン!
私は派手に窓で頭を打ちつけた。



「イタっ…」


「心ちゃん、捕まってた方がいいよ」



言うのおせぇよ!!!
梶さん、殺すぞハゲって言ったの実は怒ってんじゃないの!?



それからもの凄いスピードを出した梶さんの運転で、私は倉庫に着くまでに2回更に頭をぶつけたけど、梶さんは「ごめんごめん」ヘラヘラ笑ってた。



殺。


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