pianissimo.
いつもの様にライガの家の前を通り掛かった時、丁度、どこかから帰って来たらしいライガの妹と遭遇した。


反対方向から自転車に乗ってやって来た彼女は、私と視線がぶつかると、「あっ」と小さな声を漏らした。



咄嗟にきゅっとブレーキを握り、自転車から降り立った。そのまま自転車を引きながら道路を横断して、玄関先に自転車をとめている彼女にゆっくりと近付く。



「こんにちは」

躊躇いはあったけど、勇気を振り絞って声を掛けた。


「こんにちは」

妹は屈託ない笑顔で、挨拶を返してくれた。


やっぱり綺麗。そして可愛い。



「この前はありがとう」

「いいえ。お兄ちゃん、ちゃんと消毒してくれました?」

悪戯っぽく微笑んで、彼女は聞き返す。


「うん」

「そっか、良かった」


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