糖度∞%の愛【編集前】

とりあえず、何でもない風を装ってデスクに座ってパソコンを立ち上げる。

毎朝出社すると、社員は必ず社内メールに目を通すことになっているのだ。

社内メールは昨日の社の出来事やランチの感想など幅広く、むしろ社内新聞みたいなものなんだけど、今朝の分を読み進めていくうちに、ある一点で私はピシリと音を立てて固まった。


それは記事の最後の方の、“社員の叫び”と銘打たれた、社員投稿型の記事だった。

いつもはそこに3,4人の記事があるのに、今日はなぜだかその人数分のスペースが一つになっていて、そこにはでかでかと大きな文字で書かれていた。


「なっ、」


それを見た瞬間、ガタンと椅子を倒しながら立ち上がる。

そして辺りを見回すと、わざとらしく視線を反らす人や、にやにやと笑って見てくる人たち。

これか、これを見たからさっき私に変なくらいに注目してたのか。



……やられた。


これは怒るに怒れない。

確かに午後にはロッカーへのメモはなくなるだろう。


「いいオトコ捕まえたな、美崎」


かけられた部長の言葉に、私はただ笑って頷いた。





(美崎沙織は俺の大切な人です。
異論のある方は早乙女彼方まで。)



(こんな告白されたら
なにをされても頑張れる。)



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