糖度∞%の愛【編集前】


俺の携帯で話していたそいつに声をかければ、焦ったように携帯を後ろに隠した。

隠したって俺の携帯に出たって事実は隠せないのに、そんな意味のない行動をするこの女にいら立ちが募る。

トイレに行くのに携帯を忘れた俺も抜けてるけど、でも勝手に他人の携帯に出るのは非常識だとなぜわからないのか。


……常識がないからこそ、コイツは沙織に嫌がらせをして、今も変な理屈をこねて俺のそばに来る。



そのせいで沙織には電話もメールも、あまつさえ仕事でも避けられてる俺の精神的なダメージは計り知れない。


唯一の癒しは、今目の前にいる女の持つ俺の携帯の待ち受け画面にいる沙織だけだった。


初めて彼女の家に泊まった日、無防備に眠る彼女が愛しくて愛しくて、ついつい撮ってしまったのは仕方のないことだと思う。

でもそれが今じゃ唯一の癒しになってるっていうのも変な話だ。



そもそも、会社でコイツに沙織への嫌がらせをやめるように釘を刺したことがことの発端だった。


もう二度と沙織に手を出すな、という俺に対して返ってきた言葉は“じゃあ私と付き合って”という、あり得ない言葉で。

その場で溜息をついて頭を抱えた俺は正常な反応だと思う。

むしろそんな条件を出すこの女の思考回路が切れてるんだ。

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