僕は君の声を知らない。



「おーい、二年生だけだぞーっ
いつまでウロウロしてんだー」


パンパンと、両手を叩いて担任が教卓に立つ。


「…」


教師とは別の人影が廊下を通って後ろの扉から入ってきた。

クラスじゅうがざわめく。

ちらっと横目に見てみれば、異常に白い肌をした女子生徒が俺の隣に座った。


(…うっわ)


すぐに、視線を教卓に戻す。
最悪だ、と、感じた。


彼女は柊 一羽、それ以外あり得ないだろう。

一瞬見えた彼女は、人に見えないほど細く、白く、気持ちが悪かった。


話しかけないでほしい。

俺はできるだけ穏やかに学校生活を送りたいんだ。

3列前の河野がこっちを見て笑っているのが見えた。
瞬時にまゆをしかめ、中指を立てる。


「中津、ふざけてないでちゃんと聞け」


しまった。名指しで担任に注意を受けてしまった。

余計に河野が笑っているのは明らかだからあえてみることはしない。


でも絶対後で殴る。



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