たいむ あうと。
「本当に知りたいの?」
少年は真面目な瞳をして亜子に問う。
亜子は首を縦に振ると、立ち上がった。
「じゃあ、ついてきて」
少年はこんな時間にも関わらず、歩き出した。
今は気まずい状況だし、屋敷には明日戻れば問題無いだろう。
15分くらい歩いてついたのは、少年に出会った屋敷。
私を他の者の部下と知って連れ出したのだから、とって食おうって訳なのだろうか…。
しかし、屋敷の者たちは少年を見て挨拶をするだけで、私も見ても何も言わなかった。
むしろその暖かい視線が、とても居心地が良かった。
「まず、俺の名前は唯。男だけど」
「唯かあ!!何歳なの?」
「15」
同い年だと知り、ますます親近感が増してきた。
亜子は自分の名前も教えると、屋敷を見て言った。
「何だか、落ち着く屋敷だね」
すると唯は寂しそうな目をして、じゃあと切り出す。
「この景色を見て、何か思わないか?」
「だから、落ち着くねって…」
唯はハッとした顔をする。
慌てているようにも見えた。
「何でここの人は、私を襲わないの?」
亜子は思い切って唯に聞いてみた。
唯は少し考えたように腕をくんでから、答えた。