Do you love“me”？

あの後すぐに、誰かに呼ばれて慌てて電話を切った稜君。

そんなにも時間がない時に、私からの着信気付いて、折り返し電話をくれて。

きちんと話を聞いてくれた事を、素直に嬉しいと思った。


仕事の問題は何も変わる事なく、相変わらず山積みだけど……。

それでも、稜君に逢いに行く事を決意した私の気持ちは、自分でも驚くほどに軽くなっていた。


――だけど。

「佐々木さん」

「……はい」

「今日の夜、メシ食いに行かない？　終わるの待ってるよ」

「杉本さん」

「何？」

「私、行きませんよ」

次の日、残業をしている私に、前日と変わらぬ様子で――いや、むしろもっと強気な態度で話しかけてきたのは杉本さんだった。


仕事中はみんなの目もあるから普通にしていたけれど、残業時間で、しかも彼はもう仕事が終わった状態。

こんな時まで杉本さんに気を遣えるほど、私の器は大きくない。


何を言っても、全く聞こうとしない杉本さん。

そんな彼には何を言っても本当に無駄で……。

ほとんど開き直りに近いけれど、仕事以外の場面では、彼を相手にするのはやめる事にした。


「昨日言ったこと、怒ってるの？」

「いいえ」

「じゃー、いいじゃん」


“いいじゃん”って……。

そのあまりの態度の急変っぷりに、驚き呆れて言葉を失う。


「“怒っている”というより、“どうでもいい”の方が近いと思います」

気を遣う事もせず、杉本さんの目を見つめ、ハッキリそう口にする。


「言うねー」

だけど杉本さんは、笑いながら余裕な態度を崩さないから、正直、どう対処すればいいのかがわからない。