Do you love“me”?


辺りがすっかり暗くなった頃。

「ちょっとー! 雪降ってきたよ!!」

お客様を外までお見送りして戻ってきたスタッフの声に、みんなが大きな窓ガラスに近寄って空を見上げた。

「ホントだー。どうりで寒いわけだ」

「えー……。もー、早く帰りたい」

口々にそんなことを言いながら持ち場に戻っていく同僚たちを尻目に、私は少し焦っていた。

これは今年の初雪。

あまり雪が降らないこの辺りの交通網は、雪にめっぽう弱い。

視線を落とした腕時計の針は、十九時四十分を指している。

稜君は、もうマンションに着いたかな?

あと数週間で契約が切れるあのマンションで、稜君に逢うのは、きっともう最後になる。

そう思うだけでちょっと緊張するし、それだけで、胸が痛くなった。

稜君、まだ電気を止めていないといいんだけど……。

きっとエアコンが点かないと、今日の寒さはキツイよね?

そんなことを冷静に思いながらも、今朝から心臓はドキドキしっぱなしで……。

手も震えてるし、よくわからないけれど泣きたくなる。

あんなに近くて、大好きな稜君を、今は少し遠い存在に感じている自分が嫌だった。

閉店まであと二十分。

その後、少し残業をしないといけないから、逢えるのは本当に数十分だけ。

キリキリと痛み出した胃の辺りをさすりながら、深呼吸をひとつした私は、誰にも何も悟られないように、無理やり笑顔を作って仕事に戻った。

< 354 / 396 >

この作品をシェア

pagetop