Do you love“me”?

稜君の部屋のある階に到着した瞬間、エレベーターを飛び出して、あの角部屋のドアの前で立ち止まった。

もうすぐ逢える。

ドキドキと音を立てる心臓。

その動きは、さっきと同じなのかもしれないけど……。

稜君に逢えると思うと、少しだけ胸が温かくなるような気がした。

一度大きく深呼吸をして、ゆっくりとドアノブに手を伸ばし、力を込める。

いつものようにゆっくりとそれが下に回されることを想像しながら。

――だけど。

「……え?」

いつもとは違う感覚と“ガンッ”という音に、私は一瞬、何が起こったのかわからなかった。

ドクンドクンと、さっきよりももっと大きく脈打ち出した心臓に吐き気さえ覚える。

「イヤだ……っ」

もう一度ドアノブを握る手に力を込めたけれど、同じ音が響くだけで、その扉が開くことはなかった。

そんなはずない。

小さく頭を振った私は、ポケットから鍵を取り出して、カタカタと震える手でそれを鍵穴に差し込み、回す。

――カチャン。

静かな廊下に響いた、解錠の音。

鍵が、閉まっていた?

まるで何かを感じ取ったように、また涙がボロボロと頬を伝い落ちる。

そんなはずない。

そう思う気持ちが半分。

残りはもう、ただただ祈るような、そんな気持ち。

だけど、ゆっくりと扉を開いた瞬間、私はその場に座り込んでしまった。

< 359 / 396 >

この作品をシェア

pagetop