Do you love“me”?

しばらく呆然としていた。

何が起こったのか。

頭の中を整理したいのに、乱暴にかき混ぜられた感情が、どうしてもその邪魔をする。

「はぁ……」

吐き出す息も、視線を落とした手のひらも。

自分でも驚くほどに、震えていた。

見つめる手のひらをギュッと握り、大きく深呼吸をする。

「……大丈夫」

よくわからないけれど、自分に言い聞かせるように小さく呟くと、鞄からスマホを取り出した。

その画面を見た瞬間――。

もうどうしようもないくらい胸が苦しくなった。

「……っく……もう、やだぁ……」

“21:08”

表示されるその文字は、一瞬のうちに溢れ出た涙で霞んで見えなくなったのに……。

閉じた瞳の瞼の裏に、まるで張り付いたように鮮明に残っていて、それがまた、私の胸をギューッと締めつける。

稜君、ごめんね。

私……間に合わなかったんだね。

あの時、残業をもっと早く切り上げてたら。

あの時、駅に向かわず、すぐにタクシーを拾っていたら。

あの時、タクシーを降りなかったら。

考えてもどうしようもない“あの時”の選択肢ばっかりが、頭に浮かぶ。

どこまでも計画性のない自分が、本当に嫌になる……。

< 361 / 396 >

この作品をシェア

pagetop