Do you love“me”?
また石段をテクテクと下り出した私達。
「美月ちゃん、聞いてもいい?」
「ん? なにー?」
“言いたくなかったら、言わなくてもいいから”そう前置きをした稜君に、何事かとドキドキする。
だけど、そんな私のドキドキを余所に、彼はわざとらしく笑いながら、思いもよらない事を口にした。
「美月ちゃん、年上キラーってホント?」
「はぁっ!? 何それっ!?」
「あれ? ニセ情報?」
「いやっ!! えぇっ!? なに情報!? てゆーか、どこ情報!?」
確かに年上とばかり付き合ってはきたけど、キラーなわけでは断じてないから、訂正をしたいのにパニックで上手く言葉が出てこない。
ひたすらアワアワと焦る私に、稜君はボソッと言ったんだ。
「……航太」
「……」
「あれ?」
急に無言になった私に気が付いて、振り返った稜君は、
「あの小僧!!」
そんな言葉を吐いた私を見て、大笑いした。
「航太のこと“小僧”呼ばわりする人、初めて見たっ!!」
「だって!! 航太君、何でそんな話してんのさっ!!」
“プライバシーの侵害だ!!”なんて、ちょっとプリプリする私に、稜君は子供みたいに、本当に無邪気に笑う。
「んー? 俺が聞いたから!」
「へ?」
「ん? だから、俺が聞いたの!」
「……」
“なんで?”
喉元まで出かかったその言葉を、言っていいものなのか、どうなのか……。
「何で、年上?」
言葉に詰まる私の顔を覗き込んだ稜君は、まん丸な目で私を見つめて、小首を傾げる。
つい先日、結衣にもされたその質問。
まさかこんな短期間で、同じ質問を二回もされるとは思わなかったな。
「よくわかんないけど、私、人に甘えたりするのが得意じゃなくて」
「うんうん」
「だから……甘られる相手が欲しかったのかなぁ」
回答のはずなのに、やっぱり疑問文になってしまう私の一言に、視線を上に向けて一瞬考え込むような仕草を見せた稜君は、
「なるほどねー」
と、いつも通りの口調でそう言って。
「そっかそっか」
なんて一人納得しながら、また階段を下り始めた。
「……」
稜君は独特のテンポで話すから、話し終えた私の頭の中は、なんだか疑問符でいっぱいになる。
でも、私はそれを、どちらかというと心地いいと思ってしまうから。
だから、困ってしまうんだ……。