家出少女×俺様御曹司の偽装結婚ラプソディ*【完】
あたしは泣きながら夕方の暗い街を走っていた。
どこに行こう。
「とりあえず、遠いところ…」
幸い、ここは人通りが多い。翔だって、そう簡単には見つけられないはず。
あたしはサイテーだ。助けてくれた翔のことさえ傷つけて。
嗚咽が止まらない。自己嫌悪。こんな自分が大嫌い。
確かに翔のいうことは正しい。でもわかってるから認めたくなくて。
あたしは…いつまでも現実から逃げてるただのお子ちゃまだ。
「でも本当に…これで、居場所、なくなっちゃったな…」
もう死んじゃってもいい。しょうがない。あたしみたいなサイテー女、生きてたって、結局周りに迷惑かけるだけ。
ポツリポツリ。
黒い 空から雨が降ってくる。まるであたしの心もようを表すかのように、雨足はどんどん強くなって行く。