バーチャル歴史的愛情故事
と、そのとき、
パサッ……───────
「…?」
政宗のしていた眼帯がほどけ、美濃の胸元に落ちてきた。
「俺の見えない目が、気になるか」
「………………」
政宗は眼帯を拾おうとはせず、そのまま美濃の手を握ると、見えないほうの目に添えた。
「この目を持っても、俺は戦い続けた」
美濃の手は政宗の固く閉ざされたまぶたに触れている。
大きな傷というものはなく、ただ、静かに閉ざされているまぶた。
かすかに、温かい。
「見えずとも、生きている」
美濃は気付けば涙を流していた。
この男が背負うものはとても大きい。
それなのに、こんなにも力強い生きる力。
「なぜ泣く」
「…だって…」
「俺のために泣いているのか」
「政宗さん…どうしてそんなに強いの…」
「…義だ。義のために、生きる」
政宗の首に手を回す。
力一杯抱き締めた。
「…愛している、美濃」
この夜、政宗の優しい愛に包まれながら、二人は一つに結ばれた。