Le jour du lis de la vallée(スズランの日)
「すいません。今日は彼女と約束してるんで」


悠馬さんは突然その輪の中をすり抜けて私の目の前に立つ。

「行こうか」

さりげなく肩に手を回され、一気に距離が近くなる。

何が起きたのかよくわからないまま、私は悠馬さんに連れられてホテルのバーに足を踏み入れた。

バックの中で何度か携帯が震えていただけど、悠馬さんと一緒だから大丈夫だろうと無視。

撮影終わったら、自由にしていいって約束だったしね。

「絵里子ちゃん、飲める?」

「あ、はい」

お気に入りのカクテルの名前を告げると、悠馬さんは慣れた感じでバーテンダーに注文した。

英語でやり取りしている横顔も、超かっこいい。

思わずぼーっと見つめていると、悠馬さんの手が私の腰にまわされる。
< 2 / 31 >

この作品をシェア

pagetop