時計兎
「じゃあ彩夏、どうしてあんな所に倒れていたの?苗字は?住所は?家の電話番号は?」

まくし立てるように聞いた。

「そんな一度にたくさん聞かれても困っちゃうよ」

――それもそうか


彩夏は水の入ったグラスを口にし一呼吸の後、誇るように話した。



「倒れていたのは誰かに声かけてもらうため。
こんな可愛い少女が倒れていたら助けられずにはいられないでしょう?
実際、ご飯にありつけるんだから結果オーライだよ」


無茶苦茶だ、日本をどこかの無法国家と勘違いしてないだろうか。



「じゃあ家の電話―」
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