時計兎
ドウシテ?

昔、彩夏ちゃんはお母さんと一緒に笑いながら私を作ってくれた。
その二人の笑顔はとても温かくて私の心を満たしていった。まるで陽光をいっぱいに浴びたシーツに包まれているような感覚だった。

そして私は出来上がった。
彼女はとても喜んで妹ができたように一緒にたくさん遊んだ。

この時間が永遠に続くといいなとも思った。

幸せだった。
とても幸せだったのに。


彼女は成長していくと私と遊ばなくなった。
人形遊びをするような年齢ではなくなったからでしょう。
でもそれでいいの。

なぜならいつかはそういう日が来ることはわかっていたから。


手を繋げなくてもいい。
一緒に笑えなくてもいい。

ただ隣にいられるだけで。遠くから彼女を見守っているだけで。


それだけいい。
それだけでよかった…
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