ミルフィユと猫被り



一人だけになった部屋は、冷たく寂しい空気が溜まっていた。


その空気の中でフリーズしていた脳が少し冷静になって、考えた。


きっと、兄貴は、俺たちのしていたことすべてを、打ち明けるつもりなんだろう。


そうでなければ、『バレたら終わりだろうけど。』なんて意味深な言葉を遺言のように残す意味がないから。


漠然と浮かび上がった言葉を反芻し続けていた脳に鞭を打った。


……それだけのハズないぢゃないか、と。



俺は勢い良く扉を開けて、急いで階段を下り、階下を目指す。


でも、目的はどれだけ早く下りれるか、とかではなく兄貴を止めるため。


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