おじさんって言うな! 〜現役JKに恋した三十男の物語〜
 俺は台所のテーブルに着くと、忙しそうに動く有希の姿を目で追った。


「あれ? 着替えないの?」


 俺はコートと上着を脱いだ姿で座っていた。着替える気力もない、なんて事は言えるはずもなく、


「早く食べたくてさ」

 と言った。


「お腹ペコペコなのね? 今大急ぎで用意するから、ちょっと待っててね?」


「ああ。悪いな?」




 魚はたぶん金目鯛だと思う。甘辛く煮付けてあったが、今まで食べたどんな煮魚よりも、美味かった。


「どう?」


「すっげえ美味いよ」


「ほんと? やったぁ!」


「美味すぎて、泣けて来たよ」


 涙が出て来て、その言い訳に俺はそう言った。


「やだあ。おじさん、大げさ……」


「だよな? あはは……」


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