ピアノレッスン
2.悪魔の契約
もちろん、そのあとのレッスンなんて身が入らなかった。

触られたところが熱く熱を持ってしまって・・・・




「今日はここまでにしましょ」


結局、1時間もしないうちに先生からもうそう言われてしまった。


「・・・すみません」


「いいのよ。なんだか、具合悪そうだし・・・」


萩野先生は私がこのお屋敷に来たころからずっと私にピアノを教えてくださっている。

少し年の離れたお姉ちゃん、まさにそんな感じの人だ。



「来週はみっちりしごくから、覚悟しておいてね」

萩野先生はパチンとウィンクしてレッスン室から出て行った。



私はピアノの前に座ったまま、はぁと大きくため息を漏らした。





なんだか、自分で自分が情けなくなる。



お兄ちゃんに失恋した途端、秋月に身体を許すなんて。



私は慌ててその考えに頭を振った。
< 10 / 75 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop