彼女志願!

「わかった。すぐに行く」



穂積さんは軽くうなずき、テーブルの上の資料や手帳をさっとまとめる。



えっ……。



「それでは凛先生、お疲れ様でした。気を付けてお帰りください」



スーツ姿の彼は、ついっと中指でセルフレームの眼鏡を押し上げ立ち上がると、部屋を出て行った。



ああ……また誘えなかった……!





穂積さん……。

敏腕編集者だもんね。忙しいんだろうな。



わかっているけれど、今日こそはと思っていた分、気分が落ち込む。



なんか泣きそ……。





< 4 / 648 >

この作品をシェア

pagetop