ガルドラ龍神伝―外伝章―
第三話:奇怪な屋敷(その一)
石像の封印を解くために時間を費やした二人は、酷く疲れていた。


メダルからロータスが話しかける。


「グラナダもリタも、顔色が悪いよ。


少し休んだ方が良いと思うけど」


「ああ、そうするよ。ありがとう、ロータス」


(俺達が疲れてるのは、半分は君のせいだぞ!)


グラナダは本音を口に出さないようにしつつ、礼を言った。


日が暮れた時、三人は誰かの屋敷らしき家を見つけた。


「なあ、今日は日が暮れたし、あの家に泊めてもらえるよう、人間のお前から交渉してくれよ」


「えー! 俺が?」


グラナダは躊躇った。


いきなり人の家にあがるのは、失礼極まりない行為だ、と彼は考えていたからだ。


「良いけど、断られたら、今日は野宿だぞ」


リタとグラナダは、屋敷まで走って行った。


すると、妙なことにそこの鍵は、開いていた。


「何なの? この屋敷は。


これじゃ、泥棒や強盗まで歓迎してるようなもんじゃないか」


既にたくさんの冒険をこなしているリタは、周囲の雰囲気をよく把握していた。


グラナダが屋敷に足を踏み入れた時、彼女は魔力のようなオーラを感じた。


(変だな。ここは、人間界だろう?


なのに、屋敷全体から魔力を感じる。


それも、父上並みに強い。でも、まさかな)


リタは、またぼんやりとしていた。


「おーい、リタ。行くぞ」


グラナダが彼女に声をかけた時、屋敷の扉が開く。


そして出てきたのは、小柄な年寄りの男性だった。


「ようこそおいで下さいました。私はトート。


この≪ディサオンの館≫で、ご主人様の身の回りのお世話をさせて頂いております。


さあ、どうぞこちらへ」


執事らしき男性は、三人を屋敷の中に案内する。
< 19 / 29 >

この作品をシェア

pagetop