ふたつ星


「そして、その年の冬。ちょうど今頃、あいつは自ら命を絶った……」



翔さんが背負っているもののあまりの重さに私は何も言えなかった。




「あいつが死んでから気付いた。後悔した。自分がどれだけ最低な事をして、あいつを傷つけていたのか……。でも、その時には遅いんだよな。死んだ人間には、謝ることも出来ないんだから」



翔さんは本当に悲しそうな目をしていた。



そして、濡れた瞳で私を見据えた。



「初めてお前に会った時に助けたのは、もう誰にも、自ら死を選ばせたくなかったからだ。それと同時に自分の罪を償っているつもりでいた。お前を助けることで自分を正当化していた」



深い闇の映された瞳。



「俺は、あいつが死んでから……自分の罪を知った時から、俺は幸せになっちゃダメだと思った。そして笑うことも無くなった。俺は人一人の人生を奪ってしまったんだから」



翔さんの笑わない理由はこれなんだ……。




「だけどお前に出会って惹かれていって、お前を幸せにしたい、幸せになりたいって願ってしまったんだ」





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