春をありがとう


「病院で目が覚めてから、看護婦さんに聞いたの。日向は無事かって。看護婦さんは言ったの。無事って」


美春の手は冷たい。


「その通りだった。日向は無事だった。この目で確認したの。集中治療室と普通病室の間の病室だったけど、お医者さんがすぐに私に会わせに行くから先に退院しなさいって言ったの」

「来なかったの?」


俺は初めて口を開いた。


「来なかった・・・」

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