TATTOOー愛情ー
あたしは今母に言ったのと同じく、少年にも事情を話して市内のバッパーに泊まることを伝えた。


それを聞いた少年は少し考える素振りをして、


「If you like, come with me.(もし良かったらついておいで)」


と言ってくれた。


それは思ってもみない誘いだった。


が、少年とはいえ、外国で見知らぬ人について行くのはどれだけ危険なことか分かっていたのであたしは躊躇した。


少年もあたしの迷いを感じ取ったのか、


「心配しないで。家族も一緒だから。今日は父さんの車で来たんだ」


と言って微笑んだ。


その優しい笑顔にあたしは安堵し、パスポートを失くして不安で、誰も知り合いがいなくて心細かったのでついついOKしてしまった。


すると少年はいきなりあたしに顔を近付けた。


それはあまりにも突然で、あたしはキスされるのかと思った。
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