スイートルームの許婚
「…逆玉婚を狙ってるのか思った…。俺の思い過ごしだったなぁー」



栗原は惜しげに漏らす。



「・・・」



「じゃあ、な」


栗原は俺に背を向けて、去ってしまった。



後継者の椅子。

それがいちばん、俺と由可奈の仲を阻む要因になっていた。


由可奈と龍咲グループが全くの関係のないモノなら良いと思うほどに、俺はその事実が邪魔だと思い始めていた。


力のない自分が悪いのに。


栗原を超えようと思い、勉学に励んだが、結局、ヤツを超えられなかった。
ヤツはそんな俺を嘲笑するように、京大医学部、現役合格と言う、止めをさし、
俺と自分は違うと言う決定打をぶち込んだ。


龍咲社長を超え、奥様を納得させるコトなんて、俺にはできない。








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