スイートルームの許婚
「意味ないって…意味無くはないだろ?」



愛斗の眼鏡の奥の瞳が私を意地悪に見つめる。
言葉で、黙る私を執拗に追及した。


「それは…愛斗さんがスキだからですよー。ねぇー?桜先生」



私の様子を見兼ねて、あっちゃんが余計な助け船を出してくる。


「…」


愛斗はフッと口角を上げて不敵な微笑を浮かべた。



その微笑はすっごく皮肉めいている。


「私は・・・」


愛斗は瞳を伏せて、焼きプリンをパクリと口に運ぶ。


瞳を縁取る睫毛の多さと長さに私は気を取られた。



「カラメルソースの焼き加減と濃厚なプリンの味が美味いですね」


「ありがとうー。ここのプリン…限定モノだからすぐに売り切れちゃうの」



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