手を伸ばせば、届く距離まで。

□抜け出した先




静かに、目を閉じる。


「…華織」


「……ん」


存在を確かめるように、華織の名前を呼ぶ。


華織は泣きつづけていた。


俺は、華織の頭をなでる。


「…―――抜け出そう。一緒に」


ぴく、と華織の肩が反応した


そりゃあそうだよな。普通の反応だよ。


「今、何て?」


あっ、何か今鼻で笑われた…!?



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