手を伸ばせば、届く距離まで。

□失った理性




とりあえず、知り合いだし先生だから入ることにした。


「ごめんください」


うっ…


予想以上に荒れた家だ。


洗濯物も、靴も道具も、起き置かれたまま。


でも異臭はしないあたり、ご飯を作っていないな。


「…真樹くん?」


「…!先生、待って」


ん?


華織ちゃんが、リビングの奥に目を向けている。


俺もそちらに目をやる。



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