手を伸ばせば、届く距離まで。



――――――



「真樹。お願いがある」


笑っていた真樹は、そのままこちらに顔を向けた。


「ん?何だ、圭」


どくん、どくんと響く鼓動。


真樹。



「―――華織に、思っていることすべて、話してほしいんだ」



ぴきりと、空気が凍る気配。


そりゃそうだ。それを覚悟で言ったんだから。


「…は?」


「…じゃないと、きっと華織は罪悪感のまま。 俺も、寂しいままだ」



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