手を伸ばせば、届く距離まで。



今にも泣きそうな、愛桜ちゃんからもらい泣きした顔だ。


神崎は、停止する。


華織の美顔を真っ正面に受け、緊張しているのが分かる。


「せっかくなんだから、少しでも行ったら良いじゃないですか」


「…そーだよ。えと、神崎だっけ」


真樹が付け加える。


「家族は大事にしろ。妹を守れるのは、兄なんだから」


深く、胸に突き刺さる。



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