手を伸ばせば、届く距離まで。



華織の母親とは、離婚してから華織と妹を一人手で育てた人だ。


俺の親とも、家族ぐるみで交流があるので知ってる。


「あたし…料理とか、わかんないから。…あんま作れないんだよね」


華織母は、ずっと苦労を見せずに家庭を築いてきたらしい。


きっと、華織も何も苦労はなかっただろう。


…それが急に、支柱がなくなったのだ。


困り果てるはずである。



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