手を伸ばせば、届く距離まで。



『真樹…』


温かな、母さんの匂い。


日だまりの香りがするのは、よく俺を外へ連れ出したから。


ありがとう、母さん。


「俺…もう、大丈夫だよ」


『…うん。うん、真樹…。うん』


噛みしめるように、繰り返す母さん。


そして、水面に浮くような感覚がして、睡魔が薄らいでく。



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