手を伸ばせば、届く距離まで。



「…うん。そうだよね」


―――…華織?


席を離れようとして、華織が自虐的な声を出した。


ピタリと止まる。


華織は、笑っているようだった。


「こんな…大切な時期に友情とか、ジャマなだけだよね」


周りの生徒の声が、遮断されたように。


無音に、華織の言葉だけが繰り返される。


『そうだよね』


『ジャマなだけだよね』



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