手を伸ばせば、届く距離まで。



華織は、女子に囲まれ楽しそうに笑っている。


しかし席に戻ると、仮面が抜けたように笑顔を消す。


…もう、限界。


華織は、そう云っているみたいだった。


唇を噛み締め、やがて顔を伏せて様子を見ることは出来なくなった。


俺はそれでも、見つめた。


―――ごめんな。


助けたい。


華織の、本当の笑顔を見てみたい―――。



< 87 / 557 >

この作品をシェア

pagetop