そしていつかの記憶より

7話

───もしこの世界に神がいるのなら、俺は彼を許しはしないだろう。





ぴ、ぴ、ぴ、と心電図の音が鳴り響く。
呼吸器官を通された彼女は、ところどころ傷や痣が出来ていて、痛々しかった。




俺は泣きそうになっていた。






(俺の、せいだ)







バイトが終わってから会いたいなんて言ったから。
大学で勉強しながら待っててくれるなんて優しい言葉に甘えたりするから。







なぁ、神様。
・・・もしもいるなら、こいつに罰なんて与えないでくれ。
こいつは、俺の心を唯一動かしてくれた、優しい子なんだよ。

絶対に死なないでくれ。死なないで居てくれるなら、どうなったって構わないから。・・・だから・・・・!






────────そしていつかの記憶より。






「本気で告っちゃったわけ!?」
「う、うん」


あの後、陽子は急いで私の元へやってきて、近くの公園に私を連れ込んだ。
ちなみに智也くんの風邪はだいぶ良いみたいで、もう一人にしても平気らしい。


「はぁー・・・アンタって子は・・何でもっと早くアタシに言わないの!」
「ご、ごめんっ」
「いいけど、さ・・・」



陽子は、はぁ~~、ともう一度ため息を吐いて、空を見上げる。

私もつられて、空を見上げた。
日もだいぶ落ちて、オレンジと藍色が混ざりあったような色をした空は、なんとなく、私の心の中のようだと思った。





「アンタが、佐崎を、ねぇ~・・・・」



落ち込み気味に、陽子がつぶやく。



「う、うん・・変かな?」
「変っていうか・・・いや、」




陽子の口調は、なんとなく煮え切らない感じだった。





でも、最後の”いや、”だけは少し強い気持ちが込められているような気がした。
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