そしていつかの記憶より
桜井が、俺にキスをした。
あれはきっとただの事故なんだろう。
ただそう納得しないと、頭がこんがらがってパンクしそうだった。




(さっきの”ごめん”もそのことだったのか?)




わからん。
女の考えていることはイマイチわかんねー。



「それでですね──・・・・・・!?、先輩っ!!あれ、いつか先輩じゃないですかっ!!?」



飯を食いながら楽しそうに話していた西宮が、急に青い顔をして海を指差した。
そこには、確かに溺れ掛けているいつかがいた。





「───!!!」





いつかはカナヅチだ。
泳げない。


俺は頭の中が真っ白になった。
と同時に、強く砂浜を蹴って走り出していた。






(助けないと・・俺が、・・・俺が助けないと───!!)







「っ、おい!文人っっ!?」

拓也の声が聞こえた気がしたが、俺は気にも留めずに







ただ何も考えず、俺は海に飛び込んだ。
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