生まれ変わってもキミが好き【完結】


「ちが、う……っ」


「ちがわない。じゃあ、前世の記憶がなかったら?」


「そんなの考えたって意味ないじゃん! もう記憶はあたしの中にあるんだもん!」


「逃げるなよ! 前世の記憶がなかったら、どうだった? 記憶がなくても、凛は日下先生を好きになった? なってないだろ!」




清春に怒鳴られるなんて、初めてで。


怖くて。

それ以上に聞きたくなくて、あたしは自分の耳をふさいだ。




「もうやだ!」


「凛!」




強引に耳を抑えていた手を下げさせられた。


逃げ出したくなって、清春の手を振り払ったけど。

すぐに腕をつかまれて、すごい力で引き寄せられて……。




「や……んっ」




気づいたら、唇が。

清春の薄い唇が、あたしの唇に、ぶつかるように重なっていて。



あたしよりきめ細かい肌が、目の前にあって。


腹立つくらい長いまつ毛が、震えていて……。



銀色の細い髪が、さらりと揺れて、離れていった。







「……いまを見ろよ。凛の幼なじみは、俺じゃないのかよ」


< 310 / 372 >

この作品をシェア

pagetop